17.4 ポテンシャル電流ソース#

有限要素メッシュ内のコイル領域に電流を流すための電流ソースを定義します。

PHICOIL はコイル領域の端面に電流入力面を定義し,コイル領域の定常電流解析を実行して得られた電流密度分布を用いる電流ソースです。

PHICOIL では単一の導体領域に電流を流すための電流ソースを定義します。

設定項目#

PHICOIL(17.4) JSONキー:ポテンシャル電流ソースオブジェクト

SERIES_ID(17.4) 系列番号。

IN_ROTOR(17.4) 定義領域が回転子にあるかどうかのフラグ。

MAT_IDS(17.4) 領域設定する物性番号。

SMAT_ID(17.4) 導体を取り囲む面の物性番号。

CURRENT(17.4) 規格化電流値。

SIGMA(17.4) 要素の導電率

CAL_Je(17.4) 定義領域の渦電流を考慮するかのフラグ

設定フォーマット#

テキストフォーマットの折りたたみセクション
種類:

固定パラメータセット1

行数:

2

パラメータ数:

4, 4

Text format#
* PHICOIL * SERIES_NO * NO_PARTS * OPTION *
PHICOIL       I          I            I
* MAT_ID * SMAT_ID * CURENT * SIGMA *
    I       I       E        E

JSONフォーマット#

JSON format from 2024.11#
"17_Field_Source" :
[
    {
        "PHICOIL" :
        {
            "SERIES_ID" : I,
            "IN_ROTOR" : I,
            "data" :
            [
                {
                    "MAT_IDS" : [ I ],
                    "SMAT_ID" : I,
                    "CURRENT" : E,
                    "SIGMA" : E,
                    "CAL_Je" : I
                }
            ]
        }
    }
]

詳細説明#

PHICOIL はコイル領域の端面に電流入力面を定義し,コイル領域の定常電流解析を実行して得られた電流密度分布を用いる電流ソースです。

Hint

二次元解析で PHICOIL を使用すると,一様な電流密度を与えることと等価となります。

二次元軸対象解析で PHICOIL を使用すると,コイルの内側に電流密度が偏る分布となります。

三次元解析でコイル領域に使用すると,曲がったコイル領域の場合内側に電流密度が偏った分布となります。

PHICOIL#

PHICOIL(17.4)#
テキストフォーマットの折りたたみセクション
固定パラメータセット1#
[row, col] = [1, 1]
Type=S
:

文字列 (S)

説明:

ポテンシャル電流ソース PHICOIL の指定。

SERIES_ID#

SERIES_ID(17.4)#
テキストフォーマットの折りたたみセクション
固定パラメータセット1#
[row, col] = [1, 2]
:

整数 (I)

説明:

ソース項の識別番号。

テキストフォーマットの折りたたみセクション

NO_PARTS(テキストのみ)

固定パラメータセット1#
[row, col] = [1, 3]
Type=I

領域に設定するプロパティの数。 NO_PARTS で指定した PHICOIL は独立した導体領域と電流入力面を持つ必要があります。

IN_ROTOR#

IN_ROTOR(17.4)#
テキストフォーマットの折りたたみセクション
固定パラメータセット1#
[row, col] = [1, 4]
定義領域が回転子にあるかどうかのフラグ#

設定値

説明

0

固定部内。 デフォルト値

1

可動部内。

交流定常解析で,スライド運動でスリップがある場合, N_CORRECT(8) ≠0 の場合必要。

data#

data(17.4)#
JSONキー:

ポテンシャル電流ソースのデータ

data は配列で, PHICOIL 要素の数だけ定義する。

MAT_IDS#

MAT_IDS(17.4)#
テキストフォーマットの折りたたみセクション
固定パラメータセット1#
[row, col] = [2, 1]
:

整数配列 (I)

説明:

表面定義電流を与える要素の物性番号 ( MAT_ID(16.1) )。

Note

テキストフォーマットでは1つの物性番号しか指定できませんが,JSONフォーマットでは複数の物性番号を配列で指定できます。ただし,同じ物性値として扱われます。

複数の導体領域を一つの PHICOIL として定義する場合に,JSONフォーマットを使用して配列で設定します。

SMAT_ID#

SMAT_ID(17.4)#
テキストフォーマットの折りたたみセクション
固定パラメータセット1#
[row, col] = [2, 2]
:

整数 (I)

説明:

流入面を構成する面要素の物性番号。面方向は任意。

CURRENT#

CURRENT(17.4)#
テキストフォーマットの折りたたみセクション
固定パラメータセット1#
[row, col] = [2, 3]
:

実数 (E)

単位:

A

説明:

通過規格化電流量。

巻線コイルの場合,ターン数と読み替えると理解しやすい。

SIGMA#

SIGMA(17.4)#
テキストフォーマットの折りたたみセクション
固定パラメータセット1#
[row, col] = [2, 4]
:

実数 (E)

単位:

\(S/m\)

説明:

要素の電気伝導率。シリーズの抵抗が計算される。

CAL_Je#

CAL_Je(17.4)#
テキストフォーマットの折りたたみセクション
固定パラメータセット1#
[row, col] = [3, 1]
定義領域の渦電流を考慮するかのフラグ#

設定値

説明

0

定義領域の渦電流を考慮しない デフォルト値

1

定義領域の渦電流を考慮する。導電率は SIGMA(16.1) で設定した値を使用する。

Caution

  • 電流流入面は解析領域の Bn=0 面あるいは周期対称面に定義する。

  • 曲率のあるコイルの場合は,電流の偏りができる。断面をいくつかに分割しそれぞれを別の PART として定義すれば一様性が良くなる。この時, SMAT_ID は共通していても良い。

  • 周期対称面を通じて繋がっているコイルは一つの PART で定義する必要がある。この場合,流入面は一面だけを指定する。

  • 誘導電流は含まない。

PHICOILの定義例

PHICOIL の定義例#